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エロゲと英語のブログ
 



2007年4月15日を表示

sense off  三篠美凪シナリオ

私は神の作ったシナリオを目撃した。

なんということか。このシナリオはこれまでプレイしたどのシナリオとも一線を画し、そして最も「完成型」に近いところに帰着しながら、それでも外形的な評価は低い
このシナリオのコンセプトや考え方をもしこの作品のシナリオライターとは違う人が持っていたなら、間違いなく歴史に残るエロゲになっていた。それだけ恐ろしいほどの神プロットを作成しておきながら、しかしながら神はこの世を上手く作ったもので、一人の人間に全てを与えることはしなかった。
このシナリオライターの弱点については、他のヒロインにおけるシナリオでも所々に見られるが、三篠美凪シナリオについては特に酷かった。しかしその理由もこのシナリオでは理由が明白に語られるので、その部分の補正も含めてこのシナリオは最高の評価を与えても余りあるぐらいである。
ただしこれは、私個人の好みの問題(シナリオにおける世界観または価値観の問題)が大きく絡んだシナリオでもあったため、その点については各自判断してこのレビューを読んでいただきたい。

主人公の性格付けについては、どんなシナリオライターにも何かしらのポリシーがあるのか、「普通の学生」とか言っている様々なエロゲでそれぞれ特徴的な個性を持っている。この作品の主人公は、どの作品よりもkey作品に出てくるような主人公のような行動を取る主人公であるのだが、大きく違う点が一つあり、それは思考や言動がループするという点である。同じような展開を短い時間で何回も見せられてしまったら普通誰でも飽きるものである。その部分に厚みを持たせられなかったのはライターの責任だろう。「繰り返し」の技法と「繰り返される」展開は全く別物である。

このシナリオはまさに神のシナリオである。この言葉には2つの意味があるのだが、既にプレイ済みの方のみがその両方を把握しているはずである。私がここで何を言いたいかは、プレイして確かめていただく他ないのだが、終盤の展開はまさにAIRを高く評価する私がいかにも高評価しそうなシナリオとだけ言っておく。コンセプトは非常によく似ており、人によっては「盗作だ」と言いかねない内容である。
この作品が発売された時期にも、何かの運命を感じずにはいられない。なんとAIRの発売日がこの一ヵ月後なのである。ほぼ同時期にここまで似たコンセプトの作品が制作されたことはまさに奇跡としか言いようが無い。

AIRではこのシナリオと同じコンセプトを中心に置いたのに対し、この作品ではそれをしなかった。これはその作品自体のベクトルが別の方向に向いていたためである。三篠美凪はメインヒロインではなく、あくまでこの作品を形作るための部品であったのに対し、AIRではそれが全てだった。その点三篠美凪シナリオは、悪く言うとあっさりした出来になっている。「主人公が急に過去を思い出す」という突発的な流れには、「ご都合主義」というレッテルを貼りやすいために良い点数を与えない事が多いのだが、やはりこのシナリオもその例に漏れない。それを起点にしてシナリオを全く別の方向に無理矢理持っていくこともできるため、シナリオ全体の流れを崩すこの技法はなるべく使わない方がいい。しかしこのシナリオについて言えば、敢えてそれをする必要があったという点でいくらかの余地があった。そしてその先にあれだけのシナリオを乗せることができたのだから、その技法による減点は最小限に留めた。神のシナリオなのだからそれも当然のことなのかも知れない。

後ほんの僅かに練っていれば、このシナリオだけでフルプライス出してもいいぐらいの出来。



4月15日(日)05:34 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理


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