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エロゲと英語のブログ
 



2007年4月1日を表示

潮風の消える海に

なぜこれをエロゲでやるのか。

昨今のエロゲに求められる「ヒロインの可愛さ」とは何か。どんどんデフォルメ化(歪曲化)の進んでいくヒロインの性格付けについて、この作品は全く逆の方法でそれを成そうとしている。
私は黒須太一ではないが、エロゲ内におけるコミック力場の発生率は非常に高く、それらはどれも空想の世界でのみ成し遂げられるものであることは言うまでもない。このような「お決まり」を極力省いた作品は、アニメ世界への傾倒が進むエロゲ業界においては非常に珍しく、いわゆる「初心者におすすめの作品」としての存在価値は高い。

この作品には選択肢が存在しない。よってシナリオは一本道であり、その部分は低価格帯作品のそれに相応しい。しかしシナリオの中身を考えると、どんなに時間をかけても4時間ぐらいしかない短いシナリオの中に3年間分の内容を詰め込むという暴挙に出ている。これは明らかにシナリオを薄くする原因であるが、この作品の上手いところもここで、ほとんど描写されない部分でのキャラ達の人間関係の変化が妙にリアルなのである。
これがどれだけリアルなのかは実際にプレイしていただくとして、それがどれだけリアルに見えるかは、プレイヤー自信の人間関係や経験によるものも大きいため、人によっては物語中盤まで何が面白いのかわからない作品となる可能性もある。

この作品のヒロインは属に言うツンデレである。しかし昨今のエロゲで見られるようなツンデレとは一線を画す性格付けで描かれていることは、プレイした人ならば理解していただけることだろう。
主人公のやることに何かと文句をつけ続け、仕組んだとしか思えないふざけた突発イベントで勢いよくエロシーンに突入するのが最近のツンデレの描き方であるが、この作品では全く逆である。態度の軟化にちゃんとした理由をつける描き方は普通に考えればそれが最も自然であり、それはつまり現実的なヒロインの性格付けを行ったということもできる。結果、この作品はヲタの妄想世界から逸脱した作品となってしまい、主人公やヒロインのとる行動に対して不快感を感じやすい作りとなってしまっている。

私たち人間は、脳内で「こうありたい」と考える世界観を構築することができる。それの完成型がこの作品では描かれ、そしてプレイ後に自分の現実を知り、絶望するのである。
今までのエロゲは、ヒロインに非現実的な行動を取らせることで、現実と二次元世界のある程度の線引きを行ってきたが、この作品では極力それを行わない方向で制作されており、そういう意味では、ヲタの妄想世界であるべきエロゲの聖域を破壊する行為と言うこともできる。だからこそ、この作品のシナリオはエロゲであってはいけないのであり、月9あたりのドラマや映画でこれをやっていたら、より自然な(ありきたりな)ものに見えたのではないだろうか。




私としては、このような作品が増えることには大賛成である。私にとってそちらの方がより親しみが持てるからだ。



4月1日(日)13:52 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理


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