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エロゲと英語のブログ
 



sense off 御陵透子シナリオ

ONE~輝く季節へ~ の素晴らしさを改めて認識した。

上の作品が昨今のエロゲ業界に与えた影響は大きいが、同時に「えいえんのせかい」に対する考察は多くの異説を作り上げ、同じようなコンセプトの作品を制作することの難しさまで証明された。
ONE2を始めとして、CROSS†CHANNEL水月など、多世界的な時空の存在を認めている作品群の「難しさ」は多くのエロゲに関するシナリオコンセプトの中でもトップであるといえよう。更にこれ自体を主体とする作品となると、これに手をつけられるライターは本当に一握りの存在のみに限られ、かつ独自の倫理観と高度な哲学的思考を繰り返さなければならないという、まさに一筆入魂のシナリオ作りを心がけなければならない。

さて、この作品のシナリオを担当した元長柾木氏がこの作品を制作するにあたり、ONEの影響を受けていることは、このシナリオからも一目瞭然であるが、他の作品とは違い、そこに「泣き」を作り出すプロセスを一切省いたことは特筆すべき点である。結果的にこの作品は、その設定自体が前提で物語の進むシナリオとは異なり、「それ」が一体どこからくるものなのか、そして「それ」が私たちにとってどういうものなのかを描いた作品として完成している。
このシナリオが素晴らしいかどうかを判断する場合、外形的なシナリオプロットとその構成は大きなファクターとはならない。この人が何を書きたかったか、それをいかに相手に伝わりやすいように、かつ個性的に描くかが私の本来の評価基準であるのだが、これらは全てシナリオの流れが一様に完成されていることが大前提であり、シナリオの構成すらきちんと組み上げられていない作品は評価に値しない。この作品の場合、あまりにもいびつなシナリオ構成の上に素晴らしいバランスで積み上げられたシナリオコンセプトが見事なのであって、つまりは外形的な評価に関して見るよりも、そのほとんどの評価はシナリオコンセプトからくるものである。

元長柾木氏の考えていることは、私はあくまで元長柾木氏ではないので一生分かることは無い。それを本人が理解した上でコンセプトをあえて難しく表現したのは何故か。というより、これこそがこの作品の、特にこのシナリオに描かれている内容そのものである。すなわち、「意味がわからない」という答えをプレイヤー自信に導かせたかったのであって、ここまで到達するまでの我々の思考行動こそが、sense offの大本であると言えるだろう。

この作品に対して多くの考察サイトがあるようだが、彼らにとってこの作品は至高の作品となったことだろう。考察を好む彼らの多くは「考える」ことが自然に行える人であり、人としての自我、すなわち「個性」を持ち合わせた「正しい」タイプの人間であろう。
逆にこの作品を楽しめなかった人にとっては、シナリオライターから与えられる設問に対してそれを無視し続けた結果、この作品を難しい文字の羅列としか捉えられなかったことだろう。「考える」ことを拒み、ライターが作り上げた世界に対して何ら疑問を持つことのない彼らは、いわば「ロボット」であり、昨今話題のいわゆる「コミュニケーション不足」の人間である。

考えた結果導き出された答えが「駄作」ならば、そこまで辿り着かせることこそがこの作品の目指していたところなので、ライターとしてもそれはそれでいいことだろう。
何も考えずにプレイし、「駄作」と位置付けるプレイヤーは、むしろエロゲよりもリアルを見つめ直すべきであると、そう考えることもできそうな作品ではないだろうか。



4月27日(金)00:40 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

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